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ラッキー? アンラッキー?


病院へ行くのにシャワーを浴びてシャツにハンカチのアイロンもかけ、バスの時間も確認した。

 娘から電話があった。実は昨夜にもあり、暇なら付き合えやと誘ってくれたのだが残念ながら再々変更はマズいでしょうと断った。
今朝の電話は雨だし、用事が片付いたから病院まで送ってやるよとのこと。 
娘には娘の家の事情があろうから、親父風を吹かし、甘えたくはないと思うし宣言もしてあった。
入院の時も付き合ってくれた。断ったのだが、娘にも世間体が悪かろうと甘えることにした。
今日も意固地にならず送ってもらうことにした。車中でのこと。
帰りはバスが無いし、雨だから、バス代程度を足してタクシーで帰れと専用の有価券をくれた。

 リハビリが終わった。今日は痛かった。処置をしている前のベッドに別の男性を処置している内山の背中が見えている。大きな背中、太い腕に太い脚が羨ましい。ハンサムで好青年なのだ。
僕は彼を呼び捨てにしている。「お〜い内山、元気って聞かんでも元気やな?」  すると『ええ、元気ですよ』と答えるのも知っている。
13日を飛ばした事を心配してくれた受付のおばちゃんにお礼を言った。傍で播井君が笑顔で聞いている。
おばちゃんは言う『風邪でもひいて、寝込んでいるのかと思ってただに?』後、食事は大丈夫なのか、誰か看てくれる人は居るのかとも聞いてくれた。 

 リハビリ前の診察
ドクター尾藤だった。
 僕「お〜まいど、元気にしとるかいな?」

尾藤Dr『元気やで〜相変わらずベベタのままだけどさ』

 僕「ベベタ、大いに結構、登り詰めたら退屈するし、研鑽が途絶えまっせ。浜松一の美人の奥さんを貰うて幸せな日々。この野郎め」

尾藤Dr『そうだ、奥さんが南さんの血を抜いたと言ってたよ。食事の時に奥さんがさ『今日、面白い人が血液検査に来て、一日が楽しかったの』と言うから、南さんやと言ったらさ、『そうそう、そんな名前だったわ』ってさ』

 僕「え〜〜〜 あの人が奥さんやったんや。尾藤って、この地域に多いんやなぁ〜思うててんけど、そうか奥さんやったんや。手触ってごめん」


 呼吸器科
待ち合い室に居る間に自動の血圧計で計り、印字されたレシート状の物を提出するのが決まりなのだ。
いつものように腕を入れボタンを押した。最高血圧が150を超えた。
普段の僕は低血圧気味で100〜125くらいで推移してきたのが、未踏の150にギョッとした。
過日、メールママからの電話で、来日している長姉さんが倒れ、その原因が心臓の傍にある大動脈に亀裂が入り、悪くすれば内部で大出血していてもおかしくない状態だったことと、彼女には保険が無いのとアメリカ人だということで、日本人の無保険より50%も高い治療費になるのを病院側が心配して払えるのかと聞いたそうだ。
そうりゃ〜質草として若い女の子も居れば、最悪は両親だって質入れすればと思ったが、状態が不安定な折り、軽口は言えない。緊急で手術になっても費用は責任を持つと誓約書を書いたそうだ。
 彼女はエネルギッシュでシニア・テニスでも入賞するほどの腕前であり、元気の塊みたいな人なのだ。
それが、突然倒れた原因の多くは高血圧にあったようで、それらを聞いていただけに、初めて経験する150の血圧ドキッとした訳さ。 

 ドクターに見せた。降圧剤を処方してくれた。
 僕「なぁ〜先生、呼吸もちょっと万全とちゃうみたいやねんよ。独居老人やさかい、部屋で冷たくなって何日もってまずいやん。ほんで、いつも先生の仕事の傍でお手伝いするとか、お茶や食事の用意するの手伝うわ」

ドクター『いや〜それええですね。でもさ、毎日遅くまでカルテの見直しとかしてるから退屈よ』

 僕「先生の傍に居てたら、いつ何時発作が出ても安心やん。そうしよ」

ドクター『そうしよ、彼氏に相談して決めるけどええね?』

 僕「勿論やん、僕の目的は病気のことやし、何かの役に立てたら生き甲斐にもなるしさ。愛の交換の折りは失神しとくさかい聞こえへん、見えへん」 
 
 僕「冗談は兎も角として、何ぞ薬を考えてぇ〜な」

ドクター『冗談なんかい。家で仕事中に、お茶が出てきたり、食事が出たらめっちゃ便利やとおもうたに』

ドクター『朝に降圧剤を半錠飲んでくれ、それにステロイドを毎朝6錠を飲むんですぞ。他の薬も少し追加して変更しよう』

 僕「うん、判った。ところでな、先生を見てると、フランスの路上ライブでブレイクした歌手に雰囲気がよ〜似とるで。ZAZって云うねんけど、ほら、これ」とyoutubeでZAZの路上ライブを見せたってん。

ドクター『え〜i phoneをめっちゃ使いこなしとるじゃん』

 僕「何云うてまんねん。こんなん屁のカッパや。老後の徒然に弄くってまっさかいな」

 ステロイドを多く飲み続けると、ムーン・フェイスって特徴的な顔になり、骨が脆くなって胸が女性化します。
ほんの5日分ですから問題が出るまでもないと思いますが、胸が女性化するのは治りまへんさかい、これ以上出たら特定の女性に叱られそうです。ハハハ  でもまぁ〜気管支の炎症を抑えることのできる特効薬ですから。

 アン・ラッキー
薬を貰って、タクシー乗り場で待った。雨で忙しいのか、40分が過ぎ、雨の中をトボトボと歩き出した。
因縁のタネベ成形外科まできて、足が冷たくて遠鉄タクシーに電話をした。5時33分だった。
傘を差して待つ事30分が過ぎ、再度電話をしたら、間違って、別の人に回したと吐露し、直ぐに行かせますと言って切れた。30分が過ぎた。電話をすると別人が出て、まだ30分しか経っていないと言うので、口では穏やかに雨の中で1時間待っていると言い、忙しくて無理なら断ってくれたらええよと伝えたら、またのご利用をお待ちしていますと言って切れた。詫びることを知らない土地なのかと思いながら歩きだした。
途中にパン屋さんがある。本来は買う気もなかったのに、気分を換えたいと入ったら、目の前にコロッケ・パンと書いてあるが見当たらない。

 僕「すいません、コロッケ・パンを二つと、ドーナツ、それにこの細いのんを」

店員さん『あっ、すいません。コロッケ・パンは売り切れなんです』と言って値札を下げた。

 僕「ハイ、知ってて注文したんです。意地悪でしょ?」

店員さん『とんでもないです。教えていただいて助かりました』

 僕「僕が出たら、クソ爺めとか言っても構いませんよ。また来させてもらいますからね」

店員さん『そんな〜言うわけないですよ。お客さまだし、教えてくださったんですもの』

 僕「ええ人や〜。きっと繁盛してるんやろね。税務署とは関係ないから白状なさいな」

 店員さんの笑顔に追い出され、雨の中を歩いて帰った。 タクシーのことで少しササクレていた心が吹っ飛び、軽快に歩けたのだった。

by kattyan62 | 2012-01-21 04:50