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小さな騒動


トントントントン・・・・・・・・・・・・・・トントン

 壁を叩く音で起こされた。午前7時。
着替えて出ると、最近北海道から越してきたお婆ちゃんが、壁を箒の柄で叩きながら『おじさん、おじさん』と叫んでいる。
 お婆さんは耳が遠くて、一方的に話すだけで話を聞こうとしない。僕の口が動いているのを見ているにも関わらず、心の動揺が、尚のこと聞こえない耳に蓋をしてしているのでしょう。
お婆さんの話のあちこちを纏めるとガス漏れ警報機が鳴っているのだと言うのだが、聞こえていないはずなのに。

 お許しを得て、台所に入らせてもらった。
ガスコンロは危険だからと息子さんの気遣いだと思う電気コンロが置いてある。
室内でガス漏れはあり得ない状況なのね。
確かに床に近い警報機が点滅しながらピーピーと鳴っている。その警報機の前にゴミが置いてあった。
原因は判った。ゴミを横にずらし警報とメーターをリセット。 お婆ちゃんに説明したが聞こうとしていない。
息子さんやガス会社を呼んだそうで、お人柄の一部が見え、説明を止めた。

 4時間後、また壁を叩く音。
お婆ちゃんは段差を登れないこと、グルリと回れないことを詫びながら、ゴミの臭気に反応したんだってよと言いながら菓子を差し出した。
作り笑顔だけど、お婆さんに手を振り、無用だと合図して後ずさりした。
9月月末の早朝、お騒がせだったが楽しい住人に頬が緩む。

by kattyan62 | 2011-09-30 11:13