音楽と僕と彼女たち


押尾コータロー

 以前にも書いたギタリスト。
押尾コータローを初めて聴いたのは、女の子Aを乗せた車の中だった。
Aは百貨店に勤務している花屋のマリの同級生だった。マリに僕と付き合うのを止めろと進言していたと聞いていた。
別に彼女Aを懐柔するつもりじゃなく、大丸へ買物に行った時にハンケチを忘れた事に気付いて数枚を持ってレジへ向かうと制服姿の彼女が居り、偶然だとしか言えない。
僕「よっ、此処(ハンカチ売り場)に勤めてたんや」 

彼女A『かっちゃんが買物に来てるのを時々見掛けてたんです。今日は暇なん?』

 僕「ああ、少し時間を潰してから食事でもして帰ろうかと思ってる」

彼女A『私、もう少しで上がるから待っててもらえます?』

 僕「うん、別に構わないけど、食事にでも行く?」

彼女A『ええ、是非に』
仕事が済んだ彼女を助手席に乗せ、僕に用でもあったのか尋ねてみたら、マリのお姉さんの結婚が決まり、数日後にかっちゃんにお姉さんを紹介したいと相談を受けたのと明かした。
返事をせずに、高島屋の南にあるサウスタワーホテルのレストランフロアに連れて行った。
彼女Aと和食の店で話していたら偶然ってあるもんで、僕が長年住んだ公団住宅の2棟離れただけのところに住んでいたのだった。その棟に住むボーイスカウトの仲間の名前も知るが、近所付き合いをするには子供よりうんと若く繋がりさえなかった。
食事を終えたが、いつもなら店員さんに頼んでラウンジを予約するのだが、彼女には向かないと思った。
 食事が済んで、日本橋筋を少し北へ行き、右に折れたところの小さな店に入った。
バイク仲間だった若者に、ナンパしたら此処へと教えてもらっていて行ってみた。
幅が2メートルほどしかない小さな店だったが、マスターがギターの弾き語りをしているところだった。

 彼女Aは数杯のカクテルを飲んで、トイレに立った間に清算をし、並べてあったCDを詳しく見ずに数枚取り、マスターに渡した。
彼女と交代してトイレに立った。マスターがCDを袋に入れて彼女に渡しながら尋ねられたのだそうだ。
お父さんなのかと、そしてそうですと答えたのだと車の中で笑っていた。
車中で袋を開けてもらい聞いた中に押尾コータローがあった。
彼がブレイクする前に何度となく店で演奏したと聞いたのは後日、別の女の子と行った時だった。
花屋のマリやAを、ラウンジへ連れて行って音楽の話をしても、好みはJ Pop。判りませ〜ん。
 
 サウスタワーのラウンジは最上階にあり、大阪の東から南を眺めることができる。
僕の知らない間に、娘はみっちゃんを誘って、サウスタワーにある天婦羅を食べたのだそうだ。一人前8000円だったのよとみっちゃんが嬉しそうに話していたっけ。
 ラウンジへ入るにはネクタイが必要だと知らず、何度か入ったがノーネクタイにオーバーオールは僕の制服。レジで清算しながら支配人らしい人にネクタイの無いのを詫びた。支配人は、お客様は特別ですので、いつでもそのままどうぞと言われ、何のこっちゃと思うも悪い気はせず、下りるエレベーターで由利江が特別ってと尋ねたが、答えられるはずもない。
フロアの中央にグランドピアノがあり、数時間毎に女性が演奏をしていて、ウェイターに珈琲を出すように頼んでチップを持たせた。
彼女が立ち上がると、バックグラウンド・ミュージックになり、押尾コータローの[ピアノレッスン]が流れ、音楽担当したピアニストのセンスの良さを感じ、嬉しくなってブランデーの香りを楽しみ、少し口に含んで香りに酔った。
 
 ピアノレッスン
押尾コータローと明記されているけど、演奏に幼さがあり誰かがカバーしたのだと思います。
探したけど、彼の同曲だと断言できるのがみつかりませんでした。彼の高音部は澄んだ音色なんです。


 ラウンジの窓から見える夜景を見ながらブランデーグラスにジンを注いでもらい、火を点けた後、ブランデーを注いでもらった。ジンの燃える青い炎の向こうに娘の後輩が静かに炎を見つめていた。
色白で端正な顔立ちの彼女がロウソクとジンの炎に揺らいで美しかった。
当時も今もそうなのだが、これ以上の進展を必要としていなかった。
独りになり、寂しくなったマンションへ帰ることが無性に悲しく、よからぬ事しか考えられなかった頃だった。
昨今、とみに思うことだけど、女性と一線を超えることは避けたいと思っている。
理由は、先のラウンジでの由利江の美しさが損なわれることになる。由利江に限らず、女性の全ての何処かに美しい部分がある。しかし、率直なところ、無教養でガサツな人は困る。
愛を感じるまでなのかもしれないのだけれど、女性を美しいままにしておきたい。

※美しさの定義:見た目の美しさもあろうが、世の中で目立たずとも、美しいね、奇麗だねって言葉を聞いたことがなくても心の美しい人が居る。太っていたからとて何恥ずかしかろう。襟足の奇麗な人、足首の爽やかな人、貴女の美しいハートがあれば、前向きであれば全ての人は美しく輝く。
[PR]

by kattyan62 | 2011-09-28 15:00 | Music